ワインの生産地と言えば、どこの国を思い浮かべますか?
ワインの本場ヨーロッパや自然豊かなオーストラリア、コストパフォーマンスで注目を浴びているチリワインなど、
いろいろな国々の名前が上がります。
しかし、近年日本国内で生産された日本ワインの人気が高まっています。
各地域の風土を活かした美味しい日本ワインはバラエティも豊富で、日本の食材との相性もよく、
和食と一緒に楽しみたいときにもおすすめです。
静かなブームがおきている日本ワインの歴史、おすすめの生産地をご紹介します。
日本ワインの歴史
日本ワインの生産が本格化したのは明治時代にさかのぼります。
古くは奈良時代にブドウが栽培されていたと思われる記述があり、
中世には南蛮貿易などによりワインが日本にもたらされていましたが、日本国内でワインづくりが始まることはありませんでした。
時代は下り、明治政府は西洋を見本とした近代化を進めるなかで、殖産興業の一環としてワインづくりを推奨します。
1870年(明治3年)山田宥教(やまだ ひろのり)と詫間憲久(たくまのりひさ)が初のワイン醸造所「ぶどう酒共同醸造所」を設立、
日本固有品種の「甲州種」を使った本格的なワイン生産の開始です。
しかし、日本ワインの生産は初めから順調だったわけではなく、根気強く日本の気候に合ったブドウの品種改良が進められました。
1927年(昭和2年)、のちに「日本ワインの父」と呼ばれることとなる川上善兵衛が「マスカット・ベーリーA」などの品種改良に
成功し、次第に日本ワインの生産が広がっていきます。
1966年(昭和41年)には「メルシャン1962(白)」が国際ワインコンクールで日本初の金賞を受賞し、
日本ワインは現在世界でも高い評価を得るまでに成長しました。
日本ワインの特徴
日本ワインとは、日本国内で栽培されたブドウを使ったワインのことです。
海外産のブドウを原材料にしている国産ワインと区別するため、日本ワインと呼ばれています。
日本は南北に長く、地域ごとに気候も違い、ブドウ栽培の環境もバラエティに富んでいます。
海外の生産地と比較すると多湿で雨が多い土地柄が多いでしょう。
地域ごとに条件が違う土地柄に適した日本ワインが生産されているため、出来上がった日本ワインの味わいも幅広いところが特徴です。
日本ワインに使われている代表的なブドウの品種は、白が「甲州種」、赤が「マスカット・ベーリーA」です。
甲州種は柑橘系の爽やかな香りが特徴で、口当たりも軽めのワインになります。
一方、マスカット・ベーリーAは芳醇なベリー系の香りが特徴で、果実のうまみが引き立つ赤ワインができます。
おすすめの日本ワインの産地
日本ワインはいろいろな地域で生産されていますが、なかでも人気の高い注目の産地を紹介します。
まず、日本最大のワインの産地と言えば山梨県です。
山梨県にある甲府盆地は比較的雨量が少なく、一年の寒暖差が激しい土地柄でブドウ栽培に適しています。
ワイナリーも多く、いろいろなワインが作られていますが、
甲州種を使った白ワインは寿司やてんぷらなどの和食にも合う繊細な味わいが楽しめます。
また、近年新設ワイナリーが増えているのが北海道です。
北海道はヨーロッパ系のブドウの栽培に適した風土が特徴で、キャンベル・アーリーなどの品種で赤ワインがつくられています。
エゾシカやラム肉などの肉食材と相性が良い力強い赤ワインが多く、しっかりした果実味が感じられます。
まとめ
ワインは作られた土地の風土を映すお酒です。
日本で栽培されたブドウを使った日本ワインは、まさに日本の土地のうまみを閉じ込めたお酒と言えるでしょう。
豊かな自然やバラエティに富んだ風土を反映した日本ワインの味わいも同じように豊かさにあふれています。
また、おしゃれなワインBARでも日本ワインを取り扱うお店が増えています。
行ってみたい地方の日本ワインで、土地の味わいを満喫する旅行気分を味わってみるのもよいでしょう。